【2012年末の未来記 田中優子 法政大学教授 週間金曜日 925号】明日から日本はこうなる。参院選を待って、先ず原発は次々に再稼働する。活断層その他の情報は可能なかぎり秘匿される。コストのかかる安全対策は行わず地震で事故につながるかどうかは運に任せることにする。原発輸出も盛んになる。
非核三原則は撤廃され武器輸出も容認し尖閣諸島には国家公務員が送り込まれ、閣僚は靖国神社参拝を堂々と行い中国との関係は悪化する。関係悪化は経済に跳ね返ってくる。それを見越して日銀を抱え込み金融緩和、規制緩和を進めるが原発が継続するので新しい変革的事業への意欲は生じず経済活性化は一部の軍需産業を除いて拡大しない。一方、生活保護などの社会保障は最低限になり貧困が拡大する。非正規雇用が更に広がり若者の貧困が深刻になる。
日本の「沖縄化」が進む。米国は人口減少の進む日本を市場として期待しておらず中国に睨みを聞かせる植民地としてのみ利用する。自民党はその間接統治の忠臣であるから米国は勝たせたのである。沖縄,普天間飛行場の辺野古移転は確実になる。その費用は日本人の税金でまかなわれる。思いやり予算も増額される。自衛隊は国防軍と名を変える。
同時進行で憲法96条の改定が行われ憲法改正発議は総議員の二分の一で実施できるようになる。その成立後直ちに憲法9条の改定が発議され日本は「戦争のできる国」となる。国防軍は韓国軍と同時に米軍との軍事訓練を重ね米軍の戦争に同行する様になる。「教育」の名目のもとに韓国のような徴兵制が敷かれる。石垣島を中心とする八重山に国防軍が展開する。正規就職ができない若者達や十分な教育を受けられない若者達は国防軍に入り米軍の戦地に送り込まれる。米国は軍事負担が軽減されて喜ぶ。
日本と中国の緊張が継続し八重山や沖縄本島は警戒体制の中に置かれて観光収入が減り米軍基地と国防軍基地への依存度を高める。一方で米国は中国との経済協力を進めて市場に食い込み日本の中国市場進出を抑えながら利益を独り占めする。自民党議員や一部の企業はその利権構造にぶら下がって裕福になる。
擬似身分制度が復活する。石原家、小泉家に代表される一家の為に権力を拡張する議員が次第に多くなり忠義を誓ってそこに群がる家臣団が形成され権力闘争が私闘として繰り広げられる。政略結婚が多くなり女性が道具化され「産む性」として位置づけられる。
日本人はそういう社会を選択した。投票率は60%に満たず戦後最低の水準だった。この国を「どうでもいい」と思っている人々が40%いるのである。

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