★「ギリシャ民衆は資本主義の危機の震源」

2012年10月6日、SYRIZAユース・フェスティバル(アテネ)でのエリック・トゥーサンのスピーチ

3000人以上が4人のスピーカーの話に耳を傾けた。
その顔ぶれは次のとおりである。

・マリシア・マティアス、EU・マシュレク関連委員会副議長、革新政党左翼ブロック所属(ポルトガル)

・リサロ・フェルナンデス、鉱山労働者組合リーダー(アストゥリエス州、スペイン)

・アレクシス・ツィプラス、SYRIZA党首(ギリシャ)

・エリック・トゥーサン、第三世界債務帳消委員会CADTM代表(ベルギー)


<エリック・トゥーサンのスピーチ>

今日われわれは資本主義システム最大の危機を世界規模で経験している。しかし、資本主義は穏やかな自然死を迎えてはくれないだろう。危機は資本主義の代謝作用の一部だ。唯一、民衆の意識ある行動だけが、民主的社会主義への道を開くために資本主義を打ち破り、新たなよいものへと代えることを可能にする。

ギリシャ民衆は現在、資本主義の危機の震源地にいる。ギリシャ民衆がどのようにこの資本主義の危機に対応して立ち上がるかが、国際レベルでの解決策を見つける上でも非常に重要なファクターになる。あなたたちは今、危機そのもの、そしてその危機の解決という、双方の震源にいるのだ。

7年前、資本主義に代わる新たな道への震源地は南米-ベネズエラであり、エクアドルであり、ボリビアだった。ウゴ・チャベスが2005年に、自分はもはや第三の道を信じない、世界規模で21世紀の社会主義を実現すべきだと言ったときだ。こんにち、これまでと違う新しい社会を作る動きの震源地は - この会議のタイトルが示すほどにははっきりとはいまだその体をなしてはいないが - 欧州だ。

ベネズエラの、そしてエクアドルやボリビアの民衆が世界に示したものは、資本主義による攻撃への抵抗は可能だということだ。富の再配分、国家にとって重要な企業の公有化といった政策は十分可能だ。天然資源のような公共財の管理権を取り返すことは十分可能だし、必要なことだ。彼らはそれを成し遂げ、そしていまだ政権を握り続けている。明日、10月7日のベネズエラ大統領選で、ウゴ・チャベスが再選されることを祈ろう。

われわれはいま、欧州で歴史的瞬間を生きている。今われわれが欧州の国々において直面している残酷な社会的攻撃は、これまでの65年のあいだ見たことがない。

欧州のいたるところで、債務が - ギリシャだけでなく欧州諸国のいたるところで - 緊縮財政導入の口実として使われている。ギリシャではその結果をもっとも残酷な形でまざまざと見ることができる。しかし、攻撃はまだ始まったばかりだ。ギリシャに次いで、ポルトガル、アイルランド、スペイン、他の欧州諸国でもすでに民衆は緊縮政策の被害をこうむり始めている。

だからこそわれわれは、不当な債務の返済停止、そして支払い拒否に向けて、われわれの努力を結集し反撃しなくてはならないのだ。これは欧州全体でのわれわれ全員の根本的な達成目標だ。

ギリシャ民衆はこの三年間、欧州に大きなお手本を示してくれた。

まず、君たちは抵抗した。君たちは少なくとも14のゼネストを組織し、参加した。しかしより根本的なのは、政権を取れなかったとはいえ、圧倒的多数のギリシャ民衆がSYRIZAの掲げるラディカルな提案に票を投じたということだ。これはあまりにしばしば左翼がおとなしくなりすぎる他の欧州の国々に深い教訓を与えた。ギリシャの例は、団結した左翼、民衆をひとつにまとめた左翼の力を示した。君たちは12のさまざまな政治組織の連合体を作り、それをSURIZAにおいて団結させようと努力している。ギリシャの例は、ひとつの党、あるいは運動のネットワークが「NO」と言う、つまり彼らが「私たちが政権を握った暁にはもうトロイカには従わない」と言えば、この勇敢な戦う姿勢が民衆の支持を得るのだということ示している。これは私たちみなにとって、見習うべき前例だ。

2012年3月に発表されたギリシャ債務の削減はペテンであり、わなだ。ギリシャがトロイカに対して抱える現在1500億ユーロに上る債務、この債務全体が不公正な債務であること、そして無効であると宣言されるべきだということが、政府に対する民衆の不服従行動を通して国際世論に示されることが非常に重要だ。

彼らは君たちに、返済停止は国を大混乱に落とし込むと信じ込ませようとしている。しかしこの十年間、債務返済以外に可能な解決はないという意見と真っ向から反する実例が存在している。アルゼンチンは2001年12月、900億ドルに上る債務返済を停止し、2003年以降は毎年4から7%に上る経済成長を記録している。エクアドルは2008年11月から2009年6月まで商業債務の返済を停止し、債権者に65%の債務削減を了承させるのに成功した。現在、エクアドルは経済的にとてもうまくやっている。

新自由主義の模範的モデルだったアイスランドは、2008年9月、銀行システム全体の崩壊により非常な困難を経験した。アイスランドは英国とオランダの銀行への債務返済を現在に至るまで拒否し続けている。アイスランド経済は非常に好調で、毎年3%の経済成長を遂げている。

ギリシャはアイスランドでないことははっきりしている。アルゼンチンともエクアドルとも違う。そこには厳然たる違いがあるが、しかし、学べることはある。ここでも、それ以外のどこにおいても、どのように違う状況においても、民衆の支持を得た政府が不公正債務の返済停止を決めるなら、この政府は国民の生活状況を改善できる。これこそが見習うべき道である。

債務帳消しが必要なのは明らかだが、十分ではない。経済システムの残りの部分、不公正な社会と経済モデルを温存したまま債務帳消しをしても、ギリシャは真に国民を幸福にする新たな道を作っていくことはできないだろう。債務帳消し、債務返済停止は不可欠だ。しかし、銀行システムの公有化、富裕層がより多く支払い、生活必需品や必要なサービスへの課税を減らすような税制改革もまた、代替的なモデルの必須の部分である。

親愛なる友人のみなさん、歴史はあらかじめ書かれているわけではない。いくつかのシナリオがわれわれの目の前に準備されている。このまま、混沌に満ちた状況を続けることだって可能だし、他のシナリオ - しかもより悪い、全体主義、ネオ・ファシストというシナリオだってありうる。これは非常に危険かつ目の前にある脅威だ。

しかし、別の二つのシナリオもある。ひとつは、民衆の圧力の下で、資本主義への規制を強化するという道。1950年代から60年代に実施されたケインズ主義的資本主義だ。これもまた可能な解決策だ。

しかし、ここに集まったわれわれの多くが、我々の闘いの目標を「お行儀のいい資本主義の実現」に矮小化する必要はないと感じていることは明らかだ。我々は資本主義を超えていきたい。我々は民主的で、自律的な21世紀の社会主義を求めている。

同志たちよ、国際的な社会主義、万歳!自主管理社会主義、万歳!SYRIZA万歳!ギリシャ民衆、万歳!民衆の抵抗、万歳!革命万歳!

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