今日の東京新聞『こちら特報部』《たね蒔きジャーナル打ち切り》

原発問題を積極的に取り上げて話題を呼んだ毎日放送(MBS、大阪市)のラジオ報道番組「たね蒔きジャーナル」の打ち切りが19日、発表された。番組のファンらからは惜しむ声が出ている。(坂本充孝)

《原発報道で話題  関西のラジオ》

平日午後9~10時に放送されていたが、10月から新しいワイド番組が
組まれる。金曜日の同時間帯には新しい報道番組が放送されるが「たね蒔きジャーナル」のタイトル名は使われない。

記者会見した柚山康彦ラジオ局長は、「番組改編は常に考えており、打ち切りという言葉を意識したことはない。“たね蒔き”を含めたMBSの報道精神は新番組に引き継がれていく」と話した。「広告主の意向が反映したか」との質問には「ない」と答えた。

硬派で知られた「たね蒔きジャーナル」は2009年10月にスタート。特に昨年3月の福島第一原発事故後は、原発の危険性や“原子力ムラ”の閉鎖性を訴える京都大原子炉実験所の小出裕章助教らの声を繰り返し伝えてきた。関西以外にも評判を呼び、音声がネットを通じて全国に流れた。今年3月、優れた報道が対象の「坂田記念ジャーナリズム賞特別賞」を受賞した。

《京大・小出助教「つぶされたこと残念」》

ところが8月になって、打ち切り話が浮上。番組継続を求めるメールなどが毎日放送に殺到する騒ぎに。ジャーナリストの石丸次郎氏や医師の鎌田実氏らは「すきすきたねまきの会」を結成して寄付金を募った。寄付金は1000万円近くに達し、「この資金で番組を継続してほしい」と毎日放送に申し出たが、断られた。

小出助教は
「つぶすのであれば、しっかりした説明をしてくれるように毎日放送にお願いしてきましたが、残念ながら私が納得できる説明は得られませんでした。ジャーナリズム、報道の本来の仕事を守ってきたたね蒔きジャーナルがつぶされたことを心から残念に思います」
との声明文を発表した。宙に浮いた寄付金について石丸氏は「ジャーナリズムの賞を創設するなど有益な使い方を考えたい」と話している。


~2012年9月20日木曜日の東京新聞『こちら特報部』より

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