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Takeshi Kurita · @qurek

17th Aug 2012 from Twitlonger

500m美術館主催者へ投稿した意見文 2012.8.17


500m美術館の展覧会、毎回楽しみにしております。
前回展日常の冒険ー日本の若手作家たちー展では、作品破損があったと聞き胸を痛めております。今回展Excessive! -過剰化する表現-展を拝見いたしました。バスセンター側のガラスケース外の展示には、前回展に同じく破損の危険が感じられる油彩作品が並び、一観客として大変心配しております。

前回企画展示を拝見し、感じた事を主にセキュリティ面の危惧、また単独の美術館としてのみでなく、近隣他施設のアウトリーチ的な活用について当欄に投稿させていただきました。拙サイトにも同時掲載させていただきましたので、再度リンクを貼らせて頂きます。掲載のご報告が事後となったことをお詫び申し上げます。
前回投稿文 http://www.twitlonger.com/show/hglhgq

今回、500m美術館事業について、美術ファンとして感じている考えと、作品セキュリティについての案をまとめて再度投稿させていただきます。一観客の視点ではございますがご一読いただけたら幸いです。
私感ですが、破損事故のあった前回展、前回と基本的な作品の取り扱いに変わりのない今回展は、やや強い言葉となり恐縮ですが、いわば「美術作品の粗雑な扱い」公共空間で行われている様に感じています。今回展ではバスセンター前のむき出し壁面に油彩などの平面作品が並ぶスペースに強く破損の危険性を感じました。拝見した限り、習字をモチーフとしたグラフィックデザイン作品は数枚破れておりました。その作品はおそらく出力ですので、破損があるかもしれない前提での、代替品準備が可能な作品かもしれませんが。正直なところ結果的に破損を前提に作家が作品を出品しなければならない「美術館」には疑問を感じざる負えません。

セキュリティ対策として、当面は「作品があることを歩行者に示す床テープを貼る。」「監視ボランティアを募る。」などは実施が検討でき、また、今後は「展示はガラスケースの中だけにする」「むき出し壁面は映像作品だけにする」もしもガラスケース外に絵画や彫刻などの展示が必要な場合には、「絵画ならば額装条件、彫刻ならばこわれにくい素材、のように、一定の作品の保護を出品条件する」ことも考慮できるのではないかと感じますが、いかがでしょうか。

私はこのイベントに市民鑑賞者として、実感の沸く危惧があり文章にさせていただいております。それは前述のような「主催者側の美術作品の粗雑な扱い」が続き、広く定着していくことの先は「アートにあふれた街」とはいえず、むしろ「均一的に市民がアートを大事にできない街」なのではという危機感です。観客としての立場に立つと最初にみた展覧会の影響はとても大きく、その経験からその後の判断基準(ものさし)を得るように思います。今回の展示では多くの普段美術館に足を運ばない一般の通行人や、子ども、美術を学ぶ若い学生さんなども見ているはずと思われます。500m美術館はその方たちにとって、教育機関外で美術にふれる最初のものさしになる可能性が大いにあります。その場面では会場の性質上、提供側は通常の美術館とはまた違った丁寧さ、繊細さをもち臨まなければならないのではないでしょうか。しかし、前回、今回の一部の展示を拝見した範囲、一部展示作品の作品保護面に対して不安を感じております。はじめて「アート」に触れる一般層の観客は、一部の作品セキュリティの甘い今回の展示を見て、その展示方法を「美術館のセキリィティの平均値」として捉えるのではないかと感じます。そして改善のなく継続された場合、その認識は場所の性質上広く一般層へ浸透していくのではないか。と感じます。その時最初に活動に困難を受けるのは「低いセキュリティの平均値」の中でも展覧会を企画し、また発表していかなければならない提供側(作家と美術関係者)、さらには「市の芸術文化推進活動そのもの」に他ならないのではないでしょうか。これは会場が「美術館」ということを論拠として書いております。誤解のないように再度申し上げますと、私は市の草の根的な美術の普及活動方針自体はとても素晴らしいと感じております。しかし前回展、今回展のような「美術作品の粗雑な扱い」が散見された現在、市の今後の美術分野における根本的な部分での「提供内容の劣化」の懸念を抱かずにはいられませんでした。

栗田健 

http://air.ap.teacup.com/kuritari/76.html

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