◆OPENING

Q.貴方の名前と職業、年齢、そして現在の状況を説明してください。
A.ノーマ・リイチ。休学中の大学生。24歳。長期滞在先の下見に来てみたら、街がゾンビの群れに囲まれてた。なんだこりゃ。


 正に俺が何をした、である。いや、生き残った人間みんなそうだろうけど。
(とはいえ、カミサマに恨み辛みをぶつけても仕方がないか)
 軽く気楽に口に出すのは現実逃避ゆえである。というかこのままパッタリ倒れて寝て起きたら事態が打開されていないだろうか、などと危険なことを考えている自分が居る。
(あーでも死ぬのは嫌だな。痛いのも二度は御免だ)
 頭をがりがりと掻くのは昔からの癖。怪我はないが、梳き入れた指が引っかかる。髪の毛が何かで貼り付いているようだ。それが何なのかといえば、
 ――――。――――。――――――――。
 あまり深く考えないことにした。


◆1st DAY

 まずは現状の把握。あと食糧の確保だ。現在、手元にあるのは露店で買ったジェリーサンド――つまりジャムのみをたっぷり挟んだサンドイッチだけである。流石にこれで生き延びろなどというのは無理ゲーである。
 水はあるので、固形物が欲しいところだが――問題はゾンビの数と行動範囲が判らないことだろうか。
 現状、ゴーストタウン気味に人が居ない、もしくは街の機能が麻痺しているということは、相手がそれなりの数であるということ――でなければとっくに鎮圧だか退治だかがされていそうなものだ。それが無いということは、そういうことだろう。もしくは、
 ――――あまり考えすぎるのも、危険か。
(とりあえずは――メシと武器か)
 記憶を辿って街を移動する。この先に、数日前にスニーカーを買った店があった筈だ。

 ……辿り着いた店内は散々たる有様だった。ショーウィンドウのガラスは割られ、ドアは引っこ抜かれ、商品が散乱している。不謹慎だが――地震直後の映像によくありそうな。
「中には誰もいなさそうか」
 足音を気にする必要はなさそうだ。ついでに店主に怒られるということも。
 足を踏み入れた店の内側に埃はまだ出ていなかった。こうなってから今までは一日以下の筈だろう。してみると火事場泥棒の速さと嗅覚いうのはそら恐ろしいものがある。レジの中身はもちろん、陳列棚の真正面にある選手モデルの商品だとか、バットやゴルフクラブの類だとか、そんな「金目のもの」が綺麗さっぱり消えている。
 後者は武器になりそうだなあと思うのでまだいいとして、前者は嵩張るだけだろうに。
(……どうやって売りに行くんだ?)
 半日掛けての探索の後。一日経ってぱさぱさの極甘ジャムサンドイッチを食べながら、倉庫に一本だけ残っていた、ごく普通のバットを見下ろして溜息を吐く。疑問に応える人間は、当然ながらいない。
 とりあえずそれと、固形燃料と、それから相当数の非常食を失敬して、店を後にした。

今日のnowmas:【探索】スポーツ用品店を発見。バット(【戦闘】で受けるダメージ常に-1。最低1点は受ける)を得た! 食糧:-2 http://shindanmaker.com/235938

100/98 【バット】

2nd DAY

 さて食料の確保は出来た。あとは地道に探索するしかなさそうだ。
 ちなみにここは、いわゆる孤立都市である。古式ゆかしいおんぼろ長距離バス以外ではヘリか飛行機くらいしか到達手段がない。ついでに言うなら、長距離バスを動かす手段はない。道を知らないし、免許がないし、動かせる燃料のアテもないし、
 ――――あそこは今やゾンビの巣だ。
(とはいえ、飛行場の位置も判らないんだよな……)
 加えてこちらも免許の類も持ち合わせていない。つまりパイロットを確保する必要もある、と。問題山積みである。

「なあ、そこの兄ちゃん(ブラザー)」
 ……ぶらぶら歩いていると、そんな声が呼び止めた。四十がらみの男性。つまりおっさんである。あと明らかに発音がネイティブなのに「ブラザー」が「ブラジャー」って聞こえるのはなんでだろ。
「よかった。あんたは話が通じそうだ。頼みがあるんだが、聞いちゃくれねえか」
 おっさんの脱線しまくりの話を纏めると、こうだ。――自分の家に戻って探したいものがあるが、怖くて近寄れないので誰かに一緒に来て欲しい、らしい。
 おっさんのこの恐がり方、尋常ではない。ゾンビ多発地帯でも横断するんだろうか。
「なあ、頼むよ! 付き合ってくれや兄ちゃん!」
 なんとなく「兄ちゃん(ブラザー)」と連呼されるのが心苦しかったので名前を教えたら、おっさんの行動が更にエスカレートしたのは言うまでもない。
 それこそ、土下座せんばかりの勢いになっていた、そんなとき――
「美女をお譲りしましょうか」
 そんな声を掛けられた。
 顔立ちと衣装は中華系。喋りは流暢。口元に笑顔。どうやら話を聞かれていたようだ。――いや、あの大声では耳を欹(そばだ)てるも何もあったものではないのだが。
 そして中華系の背後には、確かに目の覚めそな美女が居る……
 ――――足手纏いになる人間は、減らすべきだ。
「いや、この男に付き合うよ」
 声を掛けてきた男は、一瞬、眉をひそめたが、次の瞬間には立ち直っていた。なかなか侮れない御仁のようである。
 ……丁寧に一礼して去るその姿に溜息を吐く間もなく、感激したおっさんにラリアットの如く抱きつかれたのは本気でどうでもいい余談である。

 結論から言うと、おっさんに付き合ったのは正解だった。
 おっさんの家というのは場所こそ遠かったが、まだあれこれが生きている区画だったのである。とはいえ、その恩恵が受けられるのも残り僅かだったようだが。
 探索というよりは、妻と娘の形見だというあれこれを鞄にしまいこむのを見守る作業。
 お礼に、と食料を示されたものの量が多いので断ると、代わりに不思議なアンプルを注射器と共に押し付けられた。曰く、治療薬だという。
「まあ、お守りだと思ってくれや。使う時がこない事を祈ってるよ」
 おっさんの家で一晩を明かし、翌日、出会った場所で別れた。

今日のnowmas:【探索】一人では心細いという男。彼に1日付き合う(4のダメージ)か【同行者】を1人譲るなら、お礼に食糧9または治療薬(ゾンビ化しつつある者を元に戻す。使い捨て)を貰える。 http://shindanmaker.com/235938

96/98 【バット】・【治療薬】

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とりあえず自分用メモ含めてまとめてみた。

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