先日 報道ステーションで古舘氏が再稼働反対デモ行進を報道しましたが その後は被災地の美談で終わりました。肉親や生活の場を失い悲しみを堪え不便や不安に耐え、ひたすら健気に希望を紡いで生きようとする被災者や被害者を拡大して伝えようとします。全くの嘘はあるまいと思いますが現場で起きていることを全て伝えているとは思えないのです。マスメディアが伝えないのは東電の悪質さだけではありません。被害を受けた人々の姿さえ正確には伝えていないと私は思います。被災地では全ての人々が慎ましく助け合って生きているとは思えません。天災であれ人災であれ過酷な災害が人々を優しくさせ絆を強めるなどということは殆ど根拠の無いことです。被災地では孤独死が相次いでいます。自分さえ精一杯暮らしているというのに他人を救えるはずがありません。東電や政府の対応の遅れが状況の悪化に拍車をかけています。強い者や声の大きい者が勝ち 不平不満の声さえ あげられない究極の弱者達が怒りの感情や抵抗力を喪失して自ら進んで絶望的な不利益を受け入れていくことをどうして無いと言えるでしょうか。飯舘村の若者たちが被曝者であるにもかかわらず仕事が無い為に作業員になって行きます。マスメディアは利権と支配の構造を揺るがす本質的な事実は伝えはしません。
それどころか、禁欲的で控え目で怒りを抑えて前向きに生きる理想的な被害者像を作品化します。時には殉職した自治体職員や高濃度放射能汚染とピンハネに怯えて働く原発労働者を持ち上げて さりげなく自己犠牲を要求することさえあります。この風潮は非常に危険なモノです。戦争を煽りたて窮地に陥った挙げ句に、若者たちをおだてあげ 志願しろとたきつけ特攻隊に駆り立てた構造と全く変わっていません。福島原発事故の状態は極めて深刻だと思います。美談を積み重ねても 作業する人間が不足するのは時間の問題です。未曾有の大事件の東電の責任(共犯を含めて)を明らかにしなければ、被災地の不幸は続き 経済弱者が作業員になる構造は変わりません。

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