「環境省、12年度放射線生態系調査を5月に開始」
(「週刊 エネルギーと環境」5/10記事)

 環境省は27日、12年度に実施する野生動植物への
放射線影響調査についてのスケジュール詳細を発表した。
福島第一原発事故に伴う放射性物質の拡散による周辺地域の
野生動植物への影響を把握し、中長期なモニタリング調査の
基礎情報収集を目的とする。

5月から13年3月まで警戒区域内外で実施する。調査内容は
試料の放射性核種濃度を測定し、被ばく量の推定(線量評価)、
試料となった生物の繁殖・形態・機能への影響の調査
(植物種子の発芽試験等)。二次的な影響(人間の不在等)
による自然環境の変化の考察。

 同省は11年11月~12年3月にも先行実施している。
採取試料については、先行調査結果を踏まえ、かつ
ICRP(国際放射線防護委員会)の定めた標準動物および植物を
参考に選定する。12年度調査では動植物が体内に取り込んだ
放射性セシウムの量を確認するほか、外見や染色体の異常の
有無を調べる。植物は発芽実験で種子への影響を調べる。

---------------------------------------------------------
この調査の内容は、環境省HPでは探せなかったのだが、
以下のリンクでおおまかな概要がわかる。

■4/9参院 糸数慶子さんの質問趣意書
http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/syuisyo/180/syuh/s180079.htm

一 政府は、同基礎調査の対象区域を、警戒区域内の富岡町、
大熊町、双葉町、浪江町、南相馬市のほか、警戒区域外の
いわき市及び広野町の計七市町としている。

二 同基礎調査では、陸生植物五種類、陸生動物二種類、
陸生・水生動物六種類(八種)、海生生物四種類、ツバメの巣
などが対象になった。

(糸数さんの質問趣旨は、もっと広い範囲で、さらに多くの
 生物種を調査するべきだ、という内容。)

また、以下にある追加の調査を準備中のようだ。

■「平成24年度環境中の放射性物質の動態解明及び放射性物質に
汚染された廃棄物等の効率的な処理処分等研究委託業務に係る
業務の概要及び企画書作成事項」(5/11)
http://www.env.go.jp/kanbo/chotatsu/kikaku2/pdf/20120511/h240501ab.pdf

4)環境放射線の生物・生態系影響に関する調査

環境中に放出された放射性物質による生物に対する放射線影響を
把握するために、植物・ほ乳類・菌類を対象とした遺伝的影響調査
を実施する。

なお、遺伝的影響調査の際に最低限満たすべき点としては以下の通り。

・放射線による植物に対する体細胞変異を高感度で検出する
ことが出来る遺伝子組換え植物(以下モニタリング植物)を
作出すること。

・作出したモニタリング植物は、高線量・中線量・低線量の
空間放射線への曝露に対して、体細胞変異の起きる頻度を
定量的示すことが出来ること。

・植物の生殖器官・組織に対する環境放射線の影響の有無を
確認できること。

・植物の生殖器官・組織に対する空間放射線量の影響を
定量的に示すことが出来ること。

・齧歯類は年間 100 個体程度捕獲すること。

・異なる空間線量地域に生息する齧歯類の生殖器官・染色体異常の
有無・酸化ストレス量の線量依存性を示すことが出来ること。

・森林における長期放射性物質の影響モニタリングにむけて
野生菌類(キノコ類・地衣類)の選定のための基礎調査を行うこと。

・菌類の収集は東日本を中心とした比較的広範囲で行い、
幅広い分類群を対象とすること。

・菌類における原発事故前後の放射性濃度の変遷を明らかに出来ること。

Reply · Report Post