JALの再生に入った稲盛さんも、JALの社内は破綻した会社だという意識はまるで無く、コスト意識も無く、「今のJALは八百屋も経営できない」と言い放ちました。
秋田内陸縦貫鉄道は年間2億5千万円、由利高原鉄道も年間8千万円ほどでしょうか、毎年毎年赤字を垂れ流している状況で、累積赤字は数十億円に達しているわけです。
従業員数十人の中小零細企業が、これだけの赤字を垂れ流しているというのは異常事態、民間企業なら社長が自殺するレベルです。
この状況を「小さなこと」と感じている状況が既にな異常な状況です。
以前、内陸線を視察した地元の議員も、内陸線の担当者が「補助金受けてますんで」と発言したことに大変憤慨し、そういう感覚だから経営改革できないんだと痛烈な批判をしていました。
また、内陸線新社長も「とりあえず赤字を5千万円削減するのを目標に」と発言したことに「とりあえずってなんだよ」と地元から批判されました。
県が出資する第三セクターの事業評価でも、秋田内陸縦貫鉄道、由利高原鉄道共に経営としては異常な数値が並びます。
http://www.pref.akita.lg.jp/www/contents/1285641913417/files/bunkatu.pdf
このどこが「小さなこと」でしょう?

秋田内陸縦貫鉄道は2週間で1千万円の血税が吹っ飛び続けている状況です。
この状況を「緊急事態」「今日明日に死ぬレベル」と捉えられない緊張感の無さが、一向に赤字解消できない要因の一つだといえるでしょう。
見ていても、この二社は一人でも多くの人に何とか来て貰おうと言うスピリットをまるで感じません。
思いついたことを適当にやっている感じで、一人でも多くの人に乗ってもらおうと、とことん考えているようにはまるで見えません。
最近、内陸線ではカメラ女子をターゲットにしたイベントをするそうですが、それ自体は面白い試みと評価しつつも、ここでも「一人でも多くの人に来てもらおう」と、とことん考えているようには到底思えません。
来てもらうには、まずはそういうイベントを開催することを知ってもらわなくてはなりません。
で、知ってもらうために何をしましたか?
県庁で記者会見・・・
もう、ダメすぎますね。
新社長就任前はそれすらしていなかったわけですから、まだ少しは前進したとは言えますが、私からすると相変わらず酷いものです。
まず、女子の皆さんに来てくださいというキャンペーンに「オッサン」がカメラの前に立ってどうします?
それをどう報道しろと・・・
どうすれば、報道されるのか、どうすればターゲットの女子の皆さんが来たいと思うのか・・・
全く考えていない証拠です。
要するにカメラ女子をターゲットにするなら、そのカメラ女子の人たちに浸透しなくては意味がないわけですが、ではそのカメラ女子の皆さんに浸透するのか・・・
全く考えていないですね。
ホームページも相変わらず何も考えていない感じで、殆ど文字ベースの事務的な案内と、適当にファルダーにあったいつもの画像をのっけましたという酷いもの。
http://www.akita-nairiku.com/info/topics/item.php?id=367
これを見て「行ってみたい!」と思う人がどれだけいるでしょう?
それを証するように、カメラ女子を自称するみなさんのプログで今のところ全く話題にされていません。
一方、JR名古屋高島屋で開催中の「カメラ女子文化祭」がこちら。
http://www.jr-takashimaya.co.jp/natsuyama_camera/index.html
予算規模も違う大手と一概に比較するのは可愛そうですが、高島屋のwebと似たレベルの物なんてホームページ作製ソフト程度で作れるレベル。
カメラ女子ではないですが、名古屋鉄道もキャンペーンでこんなページを作っています。
http://www.meitetsu.co.jp/osusume/shohin/1218591_1244.html
これもおそらく紙のパンフレットを画像にして載せただけというかなりいい加減なつくりですが、それでもそもそものコンテンツはしっかり取材して作っていますね。

要するに、「萌えを使った町おこし」と同じパターンで「ブームだからうちもやれば人が大勢来るんだろう」という感覚でやっているわけです。
どうすればそれを多くの人に知ってもらって話題になっていくのか、願わくは集客に繋がるか、全く考えないで形だけ真似ているのがよく分かります。
こちらで書きましたが、
http://www.twitlonger.com/show/h9dfca
集客自体は大したことが無くても、大きな話題となる宣伝効果があれば活性化として成果といえるでしょう。
しかし、話題にすらならなければそれは「失敗」だと言えます。

2週間で1千万円の血税をふっ飛ばし続けている今日明日死んでもおかしくは無い赤字ローカル線が、こんな状態だというのが「小さなこと」でしょうか?
リリース前に碌な案内ページも作っていない、リリース戦略もしていないというのは、私からすると「事故」のレベルです。
そういった感覚がまるで無い人たちが、事故が生じているのに事故とも思えない人たちがよってたかった結果、全く再生を果たせないわけです。
「小さな失敗にグチャグチャ言っている」という批判が出ていたが、それは誤りで、私が指摘しているのは、「小さな失敗」以前の問題で、「何もやっていない」ということです。
何も設えをつくらずに思い付きでやった・・・結果失敗といえば失敗ですが、それは決して小さなことではないですね。
やるだけとことんやって、結果がイマイチだったのと、何もしないで失敗したのでは、同じ失敗でも性質が違います。
やるだけやって失敗したのなら、その反省は次回に生きますが、何もしないで失敗したのならそれが失敗だということにも気付きません。
その結果が、秋田の二路線の状況だといえます。

ちなみに私ならこのカメラ女子企画をどうするか?
まず、自力にはせずタイアップにしますね。
例えば既にこんな企画も先行しています。
http://www.ei-publishing.co.jp/special/exp2012/
あるいは内陸線はグリコの女子会をテーマにしたCMで採用されているわけですから、グリコに掛け合ってもいいかもしれません。
また、ゲストもカメラ女子界では有名な人を招待してもいいかもしれません。
そして、ブレーンが固まったらきっちり沿線の魅力や景勝地、撮影ポイントを取材したwebを作ります。
招待カメラマンがいるのならその人が撮り歩くとよりいいでしょう。
同時に、リリース用のイメージ写真を準備します。
社員でもアテンダントでも良いですが、女の子がカメラを持って背景に列車が写っている高解像度の写真を準備します。
その上でリリースをしますが、リリースも「片っ端」です。
マスコミにリリースを送付代行してくれる会社もありますから、そういうところを使うのも手です。
そして、問い合わせがあったマスコミには直ちに高解像度のリリース写真をダウンロードできるようにします、
そうすれば、ただの文字だけより写真がある方が分かりやすく華やかなので、掲載確率が上がるわけですし、なにより見た人もイメージしやすいわけです。

こういったローカル線が赤字になる要因は様々とはいえ、何をやっても今ひとつパッとせず、活性化どころか沿線住民にも「何をやっているか知らない」と言われてしまうのは、こういった戦略が何一つ無いからです。
そういったことも要因として多額の赤字を抱えているのに、これを「重大な問題」と認識できないから、いつまで経っても改善しないのです。
まさに、冒頭話した破綻したJALの社内と同じです。

Reply · Report Post