不発に終わった九電の「第三者委員会報告書受入れ作戦」

 九州電力は、定例取締役会を中止した翌日の12月22日に、経産省に、第三者委員会報告書を「真摯に受け入れる」という報告書を提出しようとしていたようだ。マスコミ情報によると、社外3人を含む監査役会は眞部社長に早期決着を求めており、定例取締役会中止にで監査役会からの反発が更に強まることが予想されたているとのこと。それを恐れた九電経営陣が考えた苦肉の策が、副社長がエネ庁長官に第三者委員会報告書を「真摯に受け入れる」という書面とともに再提出するという方法だったようだ。
 この方法であれば、同社が10月14に経産省に提出した最終報告書は、そのまま残るので、再発防止策を変える必要はない(眞部社長は「第三者委報告書を120%受け入れた」などと言っているが、「原発立地自治体の首長との不透明な形での話し合いを一切行わないこと」など第三者委報告書が指摘する「問題の本質」に関わる提言は巧妙に除外しており、第三者委側の意向を受けて再提出するとすると、再発防止策の内容も変更せざるを得ない。)。しかも、副社長による提出で済ませることができたら、佐賀県古川知事の発言が発端であるか否かについての眞部社長の言動(「無実の人に濡れ衣を着せることになる」)などとの関係を説明することもなく、眞部社長が辞任することなく、その強硬姿勢を変えさせたり、反省させたりすることもなく、現経営陣のままで「やらせメール」問題の決着が図れると考えたのであろう。
 しかし、エネ庁側から、「従来の姿勢を変更したのであれば眞部社長が、報告書再提出について会見を開いて釈明すべき」と言われ、目論見はあえなく頓挫した。眞部社長を会見の場に引き出せば、また「言いたい放題」を言って、話をぶち壊してしまうことは必至。九電側は、苦肉の策を断念せざるを得なかったようだ。
 眞部社長の「経営者の暴走」「社会常識に反する言動」こそが問題であり、それを反省し、まともな経営体制にすることなくして九電の信頼回復はあり得ない。エネ庁からの眞部社長会見要請は当然であり、それなくして、この問題の決着を図ろうとすること自体が全く論外だ。
 それにしても、年末の忙しい時に、このような苦肉の策を考えだし、うわべだけの「第三者委報告書受入れ」で「やらせメール」問題の決着を図ろうとした九電経営陣の、的外れではあるが、涙ぐましい努力には、驚くばかり。「技能賞」を差し上げたい。

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