TPP日米協議 水面下で着々と 国民軽視に警戒を|日本農業新聞6日

日本の環太平洋経済連携協定(TPP)交渉参加問題をめぐって日米協議が水面下で進んでいる。両国高官が、米国が日本に求める牛肉の輸入規制の見直しなどについて非公式に協議を始めた。日本政府内には、米国の要請について非公式協議で折り合いを付けた上で公式の事前協議に臨み、短期間に本交渉への参加に持ち込もうとの思惑があり、それを示す動きとみられる。非公式協議を隠れみのに情報の開示と国民的な論議をおざなりにしたまま日本政府が交渉参加問題に判断を下す恐れがあり、警戒が必要だ。

 野田佳彦首相は国会などで、日米協議などの情報を公開、国民的議論をした上でTPP交渉参加問題の結論を出すことを約束。公式の協議をすれば、協議の概要を明らかにする必要性が生じる。そこで外務、経済産業両省には、非公式協議で米国の要請と日本の対応を調整し、公式の協議を早期に決着させたいとの考えがある。国民的議論を行うのに十分な時間を与えずに本交渉参加に持ち込むのが狙いとみられる。

 11月16~18日には米通商代表部(USTR)のマランティス次席代表が来日し、長浜博行官房副長官や経産省の北神圭朗政務官、外務省の西宮伸一外務審議官らと会談した。同30日からは経産省の事務方ナンバー2、岡田秀一経済産業審議官が訪米し、米国政府と協議。マランティス次席代表の来日は、米国で報道されたため日本政府も認めざるを得なかったが、岡田経産審議官の訪米は公表されないままだ。

 12月にはカトラーUSTR代表補が来日するとの報道がある。同代表補は、マランティス次席代表が長浜副長官らに要請した①牛肉の月齢制限②自動車の非関税障壁③郵政の保険事業―の3分野について、日本の対応をただすために来日するとの見方が有力。USTR幹部が立て続けに来日すれば、異例の事態だ。

 また米国政府は、同国の企業や業界団体など日本のTPP交渉参加の利害関係者から意見の募集を近く始めるなど公式の日米協議に向けて準備を開始。こうした動きを受けて、早ければ来年1月にも第1回の公式協議が行われる可能性がある。

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