『日本の医療は滅びる 3師会会長一問一答 生命、健康に影響 利益優先認めない』|日本農業新聞3日

 環太平洋経済連携協定(TPP)交渉参加反対を訴えるため日本医師会の原中勝征会長、日本歯科医師会の大久保満男会長、日本薬剤師会の児玉孝会長の記者会見の主なやりとりは次の通り。

 ――住民がより良い医療サービスを受けられるのであれば、外国企業が参入しても良いのでは。

 大久保氏 外資が参入し、株主への配当のために病院を経営すれば、日本の医療は完全に滅びる。米国で株式会社が病院を経営した場合、採算が悪いと土地・建物を売ってしまう。日本の病院は採算が悪化しても、その土地から離れない。考え方が違う外資の参入は国民の生命、健康に影響を及ぼし、非常に危険だ。

 児玉氏 外資系医薬品メーカーの参入自体を否定しているわけではない。絶対譲れないのは国民皆保険の維持だ。

 ――日本政府に何を求めるのか。

 原中氏 TPP交渉で公的医療制度を除外することだ。国民皆保険で国民が助かっていることを検証してほしい。混合診療の拡大や株式会社が参入し、医療を利益のために使うのは認められない。

 ――医療費は日米でどのくらい違うのか。

 原中氏 虫垂炎で、ニューヨークは手術料が240万円、入院は1日。日本は36万円。米国は月間10万円の保険料を保険会社に支払わなくてはならず、日本の方がはるかに安い。

 大久保氏 国民皆保険の精神は非常に大事。医療費削減の中でも、われわれは一度もこの仕組みをやめてほしいと言わなかった。

 児玉氏 日本は保険証があれば、どこでも公平に医療を受けられる。米国は所得差によって医療の質が違う。米国では民間保険会社と契約した医療機関でしか医療を受けられない制約もある。

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