『政府、楽観的過ぎる 揺らぐ国民皆保険 3師会』|日本農業新聞3日

 日本医師会、日本歯科医師会、日本薬剤師会(3師会)の会長は2日、厚生労働省で記者会見を開き、政府が国民皆保険を守ることを表明しない限り「TPP交渉参加を認めることはできない」との見解を発表した。公的医療保険制度は交渉の議題になっていないとする政府の説明に対しては「現時点の推測で楽観的過ぎる」と批判。TPP交渉では日本の同制度の除外を明言するよう政府に強く要請した。

 3師会は、日本が仮にTPP交渉に参加した場合、公的医療保険制度が交渉の対象になる恐れがある理由として、(1)政府が医療や介護など関連産業を成長産業として位置付けた2010年の「新成長戦略」以降、医療の営利産業化に向けた動きが急展開している(2)TPPの主導権を握る米国が、日本の医療に市場原理を導入することを求めている(3)米韓自由貿易協定(FTA)では医薬品、医療機器の償還価格にまで踏み込んでいる――ことなどを挙げた。

 日本医師会の原中勝征会長は「国民全員が公平に受けられる医療サービスに風穴が開けば、将来医療制度が崩壊してしまう」と危機感を募らせた。日本歯科医師会の大久保満男会長は、政府が営利企業の医療参入は交渉されていないと説明していることに「交渉で議題に入ってこないという保証はない」と反論した。

 日本薬剤師会の児玉孝会長は「(日本への2月の経済要求で)米国は薬価の算定ルールなどにも干渉しており、薬価制度が守られなければ国民皆保険の崩壊につながる。TPP情報が不足しており不安が高まっている」と政府の情報開示に不信感を示した。

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