――――大量生産のオブジェ、「レディー・メイド」を選び、それを作品にするというのは、そうして思いつかれたのですか。

マルセル・デュシャン:私は作品にするつもりなどありませんでしたよ、注意してください。《レディー・メイド》という言葉は、1915年に私がアメリカに渡ってから、生まれたものです。それは言葉自体として興味を惹きました。でも私が腰掛の上に自転車の車輪をさかさまにのせたときには、レディー・メイドという考えも、あるいは何かほかの考えも、全然なかったのです。それは単なる気晴らしでした。そんなことをすると決めた理由も、あるいは展示したり、叙述したりしようという意図も、私にはありませんでした。ええ、そんなものは何もなかった・・・・・・

マルセル・デュシャン「デュシャンは語る」 聞き手:ピエール・バカンヌ(1966)

Reply · Report Post