SeiryuF

清流 · @SeiryuF

6th Nov 2010 from Twitlonger

金融危機後もスウェーデンが好調なので、分析レポートから気になるところを抜粋。

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福祉政策と労働市場―変容する日本モデル・スウェーデンモデル
http://www.ipss.go.jp/syoushika/bunken/data/pdf/19309607.pdf

1990年代のスウェーデンの事例は金融危機に際しての経済政策を研究するにあたって特に興味深いものがあるという。ここで強調されているのは、従来の福祉国家で中心的役割を果たしていた所得再分配型の福祉政策に加えて資産ベースの福祉政策の重要性であるとしている。

日本とスウェーデンの出生率の型と傾向を検討する。特に、子どもを持つ家族に多くの恩恵を与えているスウェーデンのような家族政策が、本当に全体としての出生水準を引き上げるだろうかという問題に対して暫定的な結論では肯定している。また、スウェーデンが導入した連続的な出生を促す「スピード・プレミアム制度」が、出生率を高めるのに有効であったとの推定結果を報告している。

1)政治介入の排除、2)市場原理的効率的に運用する部分と、最低生活を保障する政策的部分との分離、3)資産ベースの財政調整、4)年金資産の効率的運用などにおいても、スウェーデンの年金制度を参考にすべきとされている。日本の年金制度の財政的持続可能性は、短期的には、女性、高齢者、パート労働者などの就業と社会保険加入を促し、長期的には出生率回復をさせることができれば、一般に言われているほど悲観的ではないと結論付けている。

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日銀レビュー欧州財政問題の域内外経済への影響
http://www.boj.or.jp/type/ronbun/rev/data/rev10j12.pdf

非ケインジアン的な見方は、財政再建が民間部門のコンフィデンスの改善につながり、財政赤字削減による下押し圧力以上に民需が増加するため、景気を押上げると考える。例えば、財政状況が極端に悪化した状況において、大胆な財政再建の実施が、将来の財政負担に関する不確実性を払拭し、民間の支出増加を誘発するケースが考えられる。特に、潜在成長率の押上げに繋がるような構造改革が同時に実施されている場合などに、そうした効果が期待される。過去においては、デンマーク(1983~86年)やアイルランド(1987~89年)、スウェーデン(1994~98年)といった国々で、対GDP比10%程度の大幅な財政赤字削減にも拘らず、経済成長率が上昇しており、これには非ケインズ効果が作用したと指摘されている。欧州周辺国の今般の財政再建策については、財政が危機的な状況のもとで実施されるケースや、年金支給開始年齢の引上げといった年金制度改革や労働市場改革などの構造改革が盛り込まれるケースもみられ、非ケインズ効果が作用するという見方につながっているものと考えられる。
次に、リカーディアン的な見方は、消費者が「今日の減税は明日の増税」と予想するという考え方に基づいている。今回の欧州のケースで言えば、リーマン・ショック後に財政刺激策が実施された際に、欧州の消費者は「今日の財政赤字拡大は、将来の増税によって穴埋めされる」と予想し、貯蓄を増やしているので、これから実際に増税が行われても、蓄えた貯蓄を取り崩して納税に充てるだけで、個人消費には影響が生じないと考える。リーマン・ショック後の貯蓄率の上昇幅が、実際に米国よりも欧州において大きいのは、こうしたリカーディアン的な見方をサポートしているようにもみえる(図表2)。
もっとも、リーマン・ショック後の貯蓄率の上昇に関しては、将来の増税に備えた行動というよりも、バランスシート問題を抱えた家計が、先行きの不確実性――将来所得の減少や住宅価格の更なる下落、また、それに伴う銀行の貸出態度の厳格化などのリスク――を意識し予備的に貯蓄を増やした側面が強いという見方も可能であろう。また、一般には、流動性制約に直面した家計の割合が多くなるほど、マクロの消費支出は可処分所得の動向に左右されるため、増税による可処分所得の減少が消費を相応に下押しする。バランスシート問題の重しは同制約を受ける家計の割合を増やしているとみられ、実際、消費者コンフィデンスが欧州周辺国を中心に悪化している状況は、そうしたケインジアン的な効果が作用している証左とみることもできよう(図表3)。

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日本がスウェーデンから学ぶこと
─社会保障ばかりか、市場主義と教育も注目点─
http://www.mizuho-ri.co.jp/research/economics/pdf/research/r100901point.pdf

失業率はリーマン・ショック直前の5.9%(2008年8月)から9.5%(2010年6月)へと大幅に悪化しており、良し悪しは別として、スウェーデン企業が米国企業並みのダイナミズムでリストラを推進し、業績回復に取り組んでいる様子がうかがえる。それにもかかわらず、個人消費の減少幅は前年比▲0.8%と、米国(▲1.2%)や日本(▲1.0%、暦年ベース)などと比べると相対的に小さく、セーフティーネットを信頼する国民の姿勢が現れているようにも見える。

TFPの割合が大きいことには、スウェーデンの経済・企業の活力などに加えて、職業訓練も含めた教育の成果も反映していると言える。このOECD各国の平均就学年数と、国際経営開発研究所(IMD)が毎年発表している世界競争力ランキングとの間には高い正の相関関係がある(図表3)

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平成21年度海外の国家プロジェクト、産学官連携の実態に関する調査研究
http://www.jmf.or.jp/japanese/houkokusho/kensaku/pdf/2010/21sentan_y09.pdf

(2)産学連携推進の政策と現状
スウェーデンは1990年代半ばから大幅な経済改革を推進し、規制改革とEU加盟(1995年)によって海外からの投資が増大した。高等教育や基礎研究には多額の投資が行われ、GDPに占める研究開発費の割合は、イスラエルに続き世界第2位の水準を誇る。
海外からの投資誘致に積極的な役割を果たしているのが、政府機関のISA(InvestinSwedenAgency)である。ISAは本部をストックホルムに置き、東京、ニューヨーク、上海など世界11ヶ所に海外拠点を有し、海外の企業や投資家に対する情報提供や支援を行っている。スウェーデン全体で、2006年には11,000社を越える外資系企業が同国に進出し約57万人のスウェーデン人を雇用した(民間部門の全従業員の23%に相当)。
このように、スウェーデンでの産学連携は、北欧や世界でも有数の大学と研究機関の存在、外資系企業に対する積極的な誘致策、研究開発や高等教育に対する手厚い投資、といった諸要因がうまくかみ合いながら推進されてきた。

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スウェーデンの実例から見る日本の若者政策・若者参画政策の現状と課題
http://www.murc.jp/report/quarterly/201003/89.pdf

実際、シルバーデモクラシーに関するこうした懸念は現実のものとなってきている。たとえば、高齢化と教育費の関係を分析した大竹文雄大阪大学教授らの研究では、高齢化によって地域の子ども1人あたり教育費が引き下げられていることが確認されている(大竹・佐野
(2009)。筆者らの研究でも、地域における高齢化の進展は児童1人あたりの就学援助額や就学援助受給率(=就学援助受給者/公立小中学生数)を減少させることか確認されている(小林・林(2010))3。また、畑農(2004)の実証分析では1990年代以降に世代間断絶が強まり、現役世代が将来世代の負担を考慮しなくなりつ
つあることが示されている。
そこで以下では、EU(ヨーロッパ連合)における若者政策の流れを概観するとともに、EUの若者政策・若者参画政策をリードしているスウェーデンの実例を見ることで、日本における若者政策・若者参画政策の課題と今後のあるべき姿について考察を加えていきたい。

・高等教育や職業訓練に対して平等なアクセスを若者に保障する・早期退学への対処としてのユースワークやノンフォーマル教育の機会開発・ライフロングラーニングのサポート
・労働市場への参加のサポート・ワークライフバランスの調和・需要のある仕事に就くためのスキル投資の拡大・EU域内における労働移動の障害を減らす・発展領域における起業の促進
・若者の健康と身体活動の促進
・社会のあらゆる場面において若者の参画をサポートする・国レベルの若者政策について、若者との対話や若者参画の仕組みを開発する
・ボランティア活動をノンフォーマル学習の重要な一形態として位置づける・ユーロパス、ユースパス、各国の資金提供等によって、ボランティア活動を通じたスキルの取得を促進・ヨーロッパにおけるボランティア活動の流動性確保・若いボランティアの保護とボランティア活動の質の改善
・社会的排除、若者の貧困、およびそれらの世代間連鎖を防く・社会的統合の手段としてユースワーク、ユースセンターの利用・コミュニティのつながり・連帯を改善し、若者の社会的排除を減少させるためには、さまざまな問題が相互に結びついているため、分野横断的なアプローチを取る
・異分野での気づきと、若い人の能力開発
・持続可能な開発や人権のようなグローバルな課題に関する若者の認識を向上させる・グローバルな課題について政策立案者と若者の意見交換の機会をつくる
・若者の創造性の向上を支援・新しい技術に接する機会を広げる・若者が文化と表現を経験する機会を増やす

行政は、省(Ministry)と庁(Agency)に分かれている。スウェーデンはNPM(NewPublicManagement)の考え方にしたがって、政策の企画・立案と執行が明確に役割分担されている。政策の企画・立案を行うのが13の省である。省の役割は政策の企画・立案に限定されているため、日本の省と比較するとその規模は非常に小さく、職員が200人を上回る省はほとんどない。省は規模が小さいこともあり、その時の政策課題や大臣の所掌分野に応じて柔軟に組み替えが行われている。一方、政策の執行を担っているが約300の庁である。庁の規模は業務によってさまざまであり、職員が数十人の庁から数千人の庁まで存在している。

世代間格差が拡大し、シルバーデモクラシーが進展する中、若者の声を社会的意思決定過程に反映させ、持続可能な社会をつくっていくことが急務である。各世代が意見を出し合い、世代間格差を克服し、持続可能な社会システムの構築を目指すことは、今を生きる者の責任である。今後急速に高齢化が進展することを考慮すると、そのための時間的猶予はあまり残されていない。人口減少・低成長経済への移行によって、日本の民主主義が問われている。今こそ若者の参画によって、日本の民主主義をもう一度つくり直していくべき時期にある。

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スウェーデンの挑戦
http://www.heri.or.jp/hyokei/hyokei107/107ronbun.htm

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