検察審査会法というのを読んでみたのだが一つ疑問が。審査員には追加補充員というものがあって、これは検察審査会事務局長が密室で選ぶことができる。審査員に欠員があれば、この追加補充員が審査員になることもある。以下、検察審査会法を読んでみる。

[検察審査会法 第18条の2] 検察審査会長は、検察審査員又は補充員が欠けた場合において、必要と認める員数の補充員(以下この条において「追加補充 員」という。)を選定することができる。ただし、追加補充員を含め、検察審査員及び補充員の員数の合計が22人を超えてはならない。

つまり、各検察審査会には11人の審査員と11人の補充員がいる訳だけれど、ここに欠員が出た場合には、検察審査会長(11人の審査員の中から選出され る)は追加補充員を加えることが出来る。ただし、検察審査会長が未選定の時には検察審査会事務局長がこのかわりを務めることができる(15条)。

その追加補充員の選定はくじで行なう。このくじには立ち会いは要らないようだ。 → [18条の2の2] 前項の規定による選定は、政令で定めるところに より、欠けた検察審査員又は補充員が属する群の検察審査員候補者の中から検察審査会事務局長がくじで行う。(立会いについての規定なし)

最初の検察審査委員及び補充員の選定のくじは、検察審査会事務局長が行なうにあたって「地方裁判所の判事及び地方検察庁の検事の立会い」が必要。(13条 の2)。が、審査員が欠員した場合に、補充員から審査員を選定するくじは「検察審査会事務官の立会い」のみで良くなる。(18条の2)

そして、追加補充員の選定のくじについては立会いの規定はない。ということは、追加補充員の選定は検察審査会事務局長が一人で出来るということだ。
また、補充員を審査員に繰り上げる選定も、事務局長が部下の立会いのみで行なえる。加えて、事務局長には審査会長を代行できる期間がある。

「地方裁判所の判事及び地方検察庁の検事」の立会いのもとで検察審査会事務局長がくじを引いて、最初の11人の審査員と11人の補充員は選ばれる。が、11人の審査員が集まって、審査会が開かれなければ、審査会長は選ばれない。その間は事務局長に会長権限がある。

審査員、補充員に選ばれた人は、特別な理由がない限り、これを拒んではならないことになっている。が、過去にこれを拒んで、罰金刑を受けた人はいない。と いうことは、固く辞退すれば、出来ると考えていいだろう。海外旅行が理由として認められているから、半年以内に海外旅行の予定があると言えばいい。

審査会は平日。東京の検察審査会は週一日のようだが、もっと頻繁に開くこともできる。審査員も補充員も審査会の日には来なければ行けない。審査員の日当は8000円。補充員は少し安いらしい。秘密を漏らせば、罰則規定もある。となると、辞退希望者は多いはずだ。

このことを考えると、最初の「地方裁判所の判事及び地方検察庁の検事」の立会いの最初の選定で、審査員/補充員が全員揃うのは簡単ではないだろう(審査員/補充員の任期は6ヶ月で、3ヶ月毎に12人もしくは10人が選定される)。

審査会が開かれて、審査会長が決まるまでは、事務局長が会長権限を持つ。仮に今期、審査員/補充員に選ばれた12人のうち、半数が辞退したとする(ほとん どの人が最初は辞退希望するというくらいだから、これは辞退を認める側の判断で増減するだろう)。すると、事務局長は6人の追加補充員の選定ができる。

この選定のくじに立会いは不要だから、これは完全な密室で行なわれる。
審査員の辞退者が3人/補充員の辞退者が3人だった場合には、審査員3人/追加を加えた補充員9人の状態になる。ここから、残る3人の審査員を選ぶくじは、事務局長と部下の事務官のみで行なえる。

これで6人の審査員、6人の補充員が揃う(改選されない10人を含め全員で22人)。審査会の当日、審査員に欠席があれば、出席した補充員の中から、くじで審査員が補充される。この選定も事務局長と事務官のみで行なえる。

くじの方法については、100名x4群の審査員候補者については、選管の名簿からコンピュータによる無作為抽出と定めてある。が、審査員、補充員を決める最後のくじについては、検察審査法にも細則にも定めがない。

さて、検察審査員の選定に恣意性入り込む余地はないだろうか。

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