9月9日、岩上安身氏による鈴木宗男氏インタビュー
http://www.ustream.tv/recorded/9447061

岩上:検察の捜査のあり方、審理のあり方、裁判所の姿勢について、まず聞きたい。
鈴木:なぜこの時期にという思い。この民主党の代表選挙の最中に…。ふつうなら静かにして選挙に集中させてやるものだ。小沢氏の足をひっぱるようなこのタイミングには政治的なものを感じる。私が上告主意書を出してまだ1年9ヶ月も経っていない。「無実を一貫して主張している」、「現職の国会議員」について、一審、二審の公判の審議内容をきちんと読んだうえで判断を下したのかどうか疑問。裁判官は官僚化している。真実を伝える組織システムになっていない。

岩上:最高裁の判事の中には、2002年に鈴木氏を外務省からパージした当時事務次官の竹内氏のような人が現在裁判官になっているが、それについて。
鈴木:竹内氏は私の裁判のメンバーではないが、最高裁判事として他の判事と顔をあわせる可能性がある。外務省時代に鈴木宗男追い落としの張本人だったこういう人が仲間内にささやくかもしれない悪魔のささやきが、私の担当判事に私について特定の印象を持たせたかも知れない。外務省の次官が最高裁判事になるというのは制度上問題がないとは言え、一種の天下りだ。公正公平を疑う。少なくとも最高裁判事は司法試験に受かった専門家がやるべきだ。こういう人たちが死刑の判断までするのはどうか。
私のあっせん収賄、受託収賄はには証拠がない。調書のみ。その調書も、本当に真実なものかどうか。密室で、検察官に誘導されてできたような調書は疑わしい。私は賄賂はもらってない。私に賄賂をもって行ったことになっている人も賄賂は渡してないと言っている。そのことについて陳述書も出しているし、高等裁判所ではそれが証拠採用までされている。最高裁はそれを一顧だにしない。真剣に真実を明らかにしようとしう姿勢はない。

岩上:村木判決直前のタイミングだという点は。
鈴木:村木氏も私と同じ弘中惇一郎弁護士。弘中氏は自信を持って村木氏は無罪だと言っている。この無罪判決は検察は、裁判所にとって芳しい話じゃない。それに小沢氏が代表になったら検察が変わっていくことにおそれをいだいている一部青年将校下した検察官もいるだろう。ならば、今、鈴木宗男にケリをつけることで小沢氏に対するマイナスイメージを醸しだし、現政権を守ってやる……というようなことがあれば、とんでもないし、実際ありそうなことだ。

岩上:検察は可視化に反対、人事に手をつけられるのもいやがる。当然小沢氏の政治主導を警戒している。抵抗している感じはあるか。
鈴木:ある。三権分立だから刑事被告人でありながら衆院外交委員長の役についたが、小沢体制になればさらに私の発言力が増すかもしれないことを恐れたと思う。それならもっと早いうちにという方向で知恵をつけた人間がいるような話を聞いている。

岩上:すでに、鈴木さんをその地位に任命した小沢氏の任命責任を問うような論調も見られる。小沢氏の捜査についても聞きたい。いろいろな贈賄話が出ては消えした構造は鈴木さんの捜査と似ていないか。
鈴木:ムネオハウス、三井物産、アフリカODAで捕まる。しかしそれらは全部消えて、悪いイメージだけが残った。最後に、やまりんなどという領収証を切った金で捕まることになった。領収証を切った金で捕まるなら、全国会議員が捕まる。最初から鈴木宗男をターゲットにした乱暴なやり方だ。やまりんで別件逮捕して本丸は三井物産という筋書きが当てが外れたというのが実態だった。それで島田建設、官製談合というような話も出した。これは、検察権力の自信のなさの現れの典型的な例。

岩上:現在の検察の強引な権力乱用については?
鈴木:民主主義の危機。司法の危機だと思う。自己保身と小さな出世欲で検察官と裁判官が生きている。しかし、国民は見ている。国民は鈴木宗男は白だとわかっている。

岩上:8年前とは国民の反応が違うと秘書の方が言っているが、この違いは何だと思うか
鈴木:世の中の流れは変わったんだと思う。弱者切り捨ての小泉構造改革に対して戦った鈴木宗男が弱い物の見方だという理解が得られたと思う。

岩上:小泉政権の対米追随一辺倒については?
鈴木:日米ははっきりモノを言うことによって信頼関係が深まると思う。沖縄普天間にしても自民党が作った案は実は官僚が作ったもの。それに乗ってはいけない。政権交代した以上、沖縄の声をしっかり受け止めて、政策変更もあると明確に意思表示するのが責任ある政治。菅氏は官僚の作ったものを全て鵜呑み。そこに政治はない。あたらしい歴史を作るためにも小沢氏が代表になることが日本のためになる。

岩上:白紙に戻すのではなく、沖縄と米側双方納得出来る解決をさぐるという小沢氏の普天間へのスタンスについて。
鈴木:現実的だと思う。日米合意もあり、沖縄の声もある。民主主義はすりあわせだから、現実的。

岩上:官房機密費について、聞きたい。ニュース23クロスのあと、野中氏がなかったことにしたり、番組が詫びを入れたりしたことについて。
鈴木:TBSの報道はおかしい。インタビューされて鈴木宗男の認識を述べただけ。野中氏のことなど何もしゃべっていない。それなのにの野中氏の抗議をうけたからといって公正さを欠いたと詫びるなど、ずれている。ふざけるなと言いたい。そんなことを言うなら私と野中氏を対決させればいい。平成10年の沖縄県知事選挙の自民党県連と稲嶺知事の後援会の収支報告を見ればいい。毎年5千万、1億しか集められない団体が、その年だけ4億5億の収支報告をだしている。その金はどこから行っているか。明々白々だ。下地代議士らもよく知っている。否定してはいけない。野中氏は沖縄に機密費を出してないと言ったが、私がTBSの放送の後野中氏に確認したら、ああそういえばそんなこともあったな、と認めた。放送の時は私はモンゴルに行っていたのだが、野中氏から沖縄に金は行っていないという留守電が入っていた。そこで帰国後私が野中氏に電話してそのことを言った。小渕さんが「官邸の金が足りなくなったら外務省の分もあるからそれも使っていいぞ」と言ったと。当時外務省から20億の上納があったのは岡田外相も認めている。それを野中氏に指摘したら、野中氏は「そういえばそんなことがあったな」と。そもそも歴代総理経験者に機密費から1千万渡したとか、自民党国対に500万渡したとか言ったのは野中氏。それで私が自民国対には半月で500万、x2で1000万だと訂正した経緯がある。野中氏も勘違いするから。機密費はいろいろなことに使われていたが沖縄は別格扱い。

岩上:官房機密費が報道機関に渡っていた件で知っていたことは?
鈴木:担当記者が出世したような場合に、お車代とか常識の範囲内でのプレゼントはあった。社ごとに5万10万の心づけを渡して、これで食事でもしてくれと。

岩上:もっと多額の金額は?接待は?
鈴木:政治評論家などにはあった。何月何日には予定が空いているからとわざわざ言ってくる人もいた。上限100万ぐらいで渡した。ランクによって値段は決まった。配り先のリストはできている。私は見ていないが引き継いだ秘書官からは聞いている。

岩上:配り先についてはひきつぎがなされてきたということ?
鈴木:そう考えていい。論説委員長、政治部長と懇談する場合は定期的なものとして横一線で出した。意見具申だから講演料のようなものとして、お菓子とお車代を出した。

岩上:野中、後藤田時代、記者メモが上層部に上がって官邸に届けられた。それが官邸の権力の源泉になっていたということについては?
鈴木:使い方次第。飯島氏は敵味方分けた類まれな能力を持っていたと思う。

岩上:最後に、いままでのこと、そしてこれからどうすべきか。日本のためにメッセージがほしい。
鈴木:ひとつは北方領土問題。2002年に国策捜査で挙げられていなければ北方領土問題は解決できていたと思っている。元島民の皆さんには残念なことだった。小泉政権時代は日ロ関係の空白の10年だった。鳩山政権になってロシア側も期待した、わたしも5月と今月にモスクワに行ったりして尽力した。鳩山政権にうまくやってもらおうとしたがつぶれてしまった。菅総理はまったくロシアに関心がない。この領土問題は私のライフワークだと思っているので本当に残念。

岩上:56年当時アメリカ側から圧力がかかったと聞いているが。
鈴木:当時、日本とソ連が仲良くなることをアメリカは極度に警戒していた。日米安保条約を更改したら、こんどはソ連のグロムイコが外国の軍隊を駐留させるような国に領土は返せないと言ってきた。当時は米ソ冷戦構造に振り回された。
ひとつ大事なことは、共産ソ連が倒れ自由主義のロシアになった時に、日本が政策転換したこと。もう四島一括ではなく、四島の帰属さえ認めれば、平和条約を締結して、その後返還はおいおいすればいいという「段階的解決論」に変更したこと。それを勉強していない小泉や田中真紀子が四島一括などということをまた言い出したからロシアが引いてしまった。勉強してない政治家、基礎体力のない政治家が間違ってポストに着くと、国益が落ちるということ。北方領土問題については、橋本、小渕、森といい流れできていたから。ほんとうに残念だった。
もうひとつ、私はアイヌ民族の権利の確立を主張してきた。おととし6月6日、日本国政府は初めてアイヌを先住民族と認めた。これは画期的な新党大地の成果の一つ。ひとりで何が出来るかと言うが、わたしは一人でこれをやった。

岩上:収監からもどってきたら?
鈴木:41年も永田町で生きてきた。政治は私の人生から切り離せない。私の志を次いでくれる人を一人でも育てていきたい。

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